彌彦神社の宝物
彌彦神社は御創建以来二千四百年余の永い歴史の中で、幾度となく火災や戦乱に遭ったため、
古くからの宝物類は残念ながらほとんど残されていません。
それでもなお、様々な困難を乗り越えて現在まで伝えられてきた重要な宝物類の一部をご紹介します。
国指定重要文化財 大太刀 附 革鐔(志田大太刀 室町時代 全長220.4cm)
(銘 南無正八幡大菩薩右恵門烝家盛 / 南無唵摩利支天源定重 応永廿二年十二月日)
国宝など文化財の指定を受けている刀剣の中で最大級の太刀です。
応永二十二年(1415)、古志郡夏戸に居を構えた武将志駄(志田)三郎定重が、備前長船の刀匠・家盛に鍛えさせ奉納したものです。
慶長十五年(1610)、越後国巡検中の佐渡金山奉行大久保長安が当神社参拝の折に拝観し、その出来栄えと大きさに驚嘆し、江戸まで運ばせ二代将軍徳川秀忠の上覧に供したと伝えられています。
国指定重要文化財 鉄製仏餉鉢(大鉄鉢 鎌倉時代後期 高さ37.6cm・口径64.9cm)
(陽鋳銘) 彌彦御鉢 嘉暦元年丙寅 九月五日 奥山庄中条住人 相次郎孝基敬白
鉄製の大鉢で、嘉暦元年(1326)奥山庄中条の豪族・相次郎孝基が奉納したものです。本来の用途は不明ながら、賽銭や供米を入れるために用いたとも考えられます。
新潟県指定文化財 砧青磁袴腰香炉(青磁香炉 南宋 高さ約15cm・口径約20cm)
寛元四年(1246)、鎌倉の建長寺開山蘭渓道隆が宋より渡来した折に持参して鎌倉将軍に献じられ、後には徳川家康が所有し、さらに家康から拝領した越後高田藩主松平忠輝(家康六男)が奉納したものと伝えられています。
我が国に現存する青磁香炉の中でも最大級であり、南宋時代の竜泉窯にて作られたものです。
新潟県指定文化財 鏡鞍 附 壷鐙(鎌倉時代)
源 義家が天喜五年(1057)、奥州征伐の途中にて参拝の折、神助を祈念して奉納したものと伝えられています。鞍は全体を銀・銅にて覆う平安朝の様式、壷鐙は平安朝をさらに遡る古様を残すものとして貴重なものです。
新潟県指定文化財 上杉輝虎祈願文(室町時代後期)
越後の武将として著名である上杉輝虎(謙信)が永禄七年(1564)に奉納した願文です。「輝虎筋目を守り非分を致さざること」の首題で始まり、北関東・越中への出兵や武田氏・北條氏との戦いは、全て正義に基づく大義名分の立つものであり、私欲非道を為さぬ旨を固く誓って神助を祈る内容です。